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四国・九州の八つの神名|愛比売・飯依比古・白日別と国生み

ふくみる編集部

西川祐信の画に描かれた伊邪那岐命と伊邪那美命。国生み神話の記事のサムネイル。
この記事の目次

四国と九州の「四つの面」に対応する八つの神名を一覧で解説。愛比売(えひめ)・飯依比古(いいよりひこ)・白日別(しらひわけ)などの違いと、現代の地域名に置き換える際の注意を整理します。

西川祐信の画に描かれた伊邪那岐命と伊邪那美命。国生み神話を描いた参考図版。
西川祐信《伊邪那岐命と伊邪那美命》。国生みを描いた絵画で、個々の島の実景写真や神名の肖像ではありません。メトロポリタン美術館所蔵(2015.300.115)/Wikimedia Commons(CC0)。

「身一つ、面四つ」をどう読む?

『古事記』は四国に当たる伊予之二名島(いよのふたなのしま)と、九州に当たる筑紫島(つくしのしま)について、一つの身に四つの面があると語ります。四つの島が集合するという説明ではなく、一つの島の中の国々を面として表す記述です。

各面の神名は、国生みの文脈で土地に与えられた名です。現代の県の守護神一覧や、すべての神社に共通する祭神表ではありません。ここでは、本文にある国名と神名の組を確かめます。

島本文の国名面の神名
伊予之二名島伊予愛比売
伊予之二名島讃岐飯依比古
伊予之二名島粟(阿波)大宜都比売
伊予之二名島土左(土佐)建依別(たけよりわけ)
筑紫島筑紫白日別
筑紫島豊豊日別(とよひわけ)
筑紫島肥建日向日豊久士比泥別(たけひむかひとよくじひねわけ)
筑紫島熊曾建日別(たけひわけ)

愛比売(えひめ)

伊予国に対応する面の名です。「比売」は女性を示す呼称であり、「愛」はエの音を表します。神名の意味には複数の説明があるため、「恋愛をかなえる女神」といった現代的なご利益を文字から作り出すことはしません。

伊予之二名島の全体を表す名と、愛比売が表す一つの面を分けると、島と地域の関係を理解できます。名鑑では別の階層の項目として扱っています。

飯依比古(いいよりひこ)

讃岐国に対応する面の名です。「飯」の字から食物との関係が考えられ、「比古」は男性を示す呼称です。土地が食物と結びつく表現として読めますが、名義の解釈と、神社で実際に営まれてきた信仰は別に確かめる必要があります。

大宜都比売と同じ四国の神名であっても、本文上の名と対応する国は異なります。食に関わる印象が共通することを理由に、同じ神名にまとめません。

粟国の大宜都比売は、既存項目へつなぐ

四国の三つ目の面は大宜都比売です。この名前は、食物を生む神の物語にも登場します。同じ呼称が別の場面に現れることを示しつつ、それぞれの記述の役割を区別して読むことが大切です。

名鑑にはすでに項目があるため、今回重ねて採番しません。食物神の物語、保食神(うけもちのかみ)との記紀の違いは大宜都比売神(おおげつひめのかみ)・保食神の比較記事で確認できます。

建依別(たけよりわけ)

土左国に対応する面の名です。土佐という地域の名と神名を組にして読むと、四国の四つの面がそろいます。名に含まれる「別」は、この国生み段に複数見える呼称です。

「建」という字を持つ神は他にもいますが、建御雷神(たけみかづちのかみ)や建御名方神(たけみなかたのかみ)と同じ神であることを示すものではありません。神名の一部の一致より、登場箇所と土地との対応を優先します。

白日別(しらひわけ)

筑紫国に対応する面の名です。ここでの筑紫は九州全体を示す島名ではなく、その四つの面の一つです。島全体と一地方に同じ呼称が用いられるため、表では「島」と「国」を別の列にしています。

大年神(おおとしのかみ)の子の系譜に現れる「白日神(しらひのかみ)」とは、表記も登場場面も違います。名が似ているという理由で統合せず、大年神の最初の五柱とは別の項目として案内します。

豊日別(とよひわけ)

豊国に対応する面の名です。豊国は後の豊前・豊後に関係する古い国名ですが、ここでは『古事記』の国生みにおける一つの面として登場します。後世の行政区分をそのまま本文へ書き込まないようにします。

白日別、豊日別、建日別はいずれも末尾に「日別」を持ちますが、本文はそれぞれ別の国に対応させています。似た神名を比較できることが、一覧で読む利点です。

建日向日豊久士比泥別(たけひむかひとよくじひねわけ)

肥国に対応する長い神名です。名前の中に日向という字があっても、古事記本文の対応先は肥国です。「日向の神」として別の欄へ移すと、本文との関係が失われます。

國學院大學の解説は、名の長さや日向国が表にないことをめぐる議論、他の古典の記述も紹介しています。異なる文献の配当を混ぜて古事記の神名を分割せず、一続きの名として掲げます。

建日別(たけひわけ)

熊曾国に対応する面の名です。熊曾を具体的にどの範囲とするかは、南九州をめぐる古代の地名・伝承の解釈と関わり、簡単には確定できません。現在の県名だけで所在地を一つに固定しないことが重要です。

肥国の長い神名や土佐の建依別と字が似ていても、ここでは古事記の四つの配当を保持します。熊曾国と建日別の組が、本文にある対応です。

四つの面と現代の地域を結びつけるときの注意

讃岐・伊予など現在も地域名として親しまれる呼称がある一方、筑紫・豊・肥は分国前後で範囲や呼称が変わり、熊曾国はとりわけ説明に留保が要ります。古代の国を現代の一県へ一対一で置くと、神話の区分そのものが見えにくくなります。

この八つの名から、各県に必ず一柱ずつ守護神がいると導くこともできません。参拝先を探すときは、その神社の御祭神(ごさいじん)と由緒を公式資料で確認し、国生みの対応表とは分けて調べてください。

次に読む国生み・神生み

国生みを語る二神の物語は伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)へ。大八島のあとに登場する淡島(あわしま)は淡島と神生みで、淡路島との違いも確認できます。

大八島と淤能碁呂島(おのごろしま) / 六島と六つの神名

出典・参考資料

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