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別天津神と神世七代とは?名前・順番と「七代」の数え方

ふくみる編集部

西川祐信の画に描かれた伊邪那岐命と伊邪那美命。国生み神話の記事のサムネイル。
この記事の目次

『古事記』のはじめには、天照大御神(あまてらすおおみかみ)や伊邪那岐神・伊邪那美神より前に成った神々が並びます。別天津神(ことあまつかみ)と神世七代(かみよななよ)は、世界と神々のはじまりを読むための二つのまとまりです。

別天津神(ことあまつかみ)は五柱、神世七代(かみよななよ)は七柱ではない

別天津神は、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、高御産巣日神(たかみむすひのかみ)、神産巣日神(かむむすひのかみ)、宇摩志阿斯訶備比古遅神、天之常立神の五柱です。続く神世七代は、独神二柱と、二柱一組の神々五組から成り、合わせて十二柱が七代として数えられます。

「代」はここでは神々のまとまりを数える単位です。七代を七柱だと思うと、後半の対となる神々が抜けてしまいます。別天津神と神世七代を合わせると十七柱となりますが、これは『古事記』冒頭の配列の話で、日本の神様全体の数ではありません。

アイキャッチの出典:西川祐信《伊邪那岐命と伊邪那美命》。国生みを描いた絵画で、この記事の神々そのものを描いた肖像ではありません。メトロポリタン美術館所蔵(2015.300.115)/Wikimedia Commons(CC0)。

見るところ読み解く手がかり
別天津神五柱。『古事記』冒頭で特別にまとめられる
神世七代の第一・第二代国之常立神と豊雲野神。各一柱で一代
第三代以降対となる二柱を一代として数える
最後の一組伊邪那岐神・伊邪那美神。のちに国生み・神生みを担う

国之常立神

『古事記』では天地開闢の後、神世七代の初めに現れる独神。『日本書紀』では国常立尊が天地開闢の最初の神として登場する本文があり、二つの記述を同じ順序として扱わない。

天之常立神

『古事記』で別天神の一柱として登場する独神。国之常立神と名称が似ているが、同一の神として統合しない。古典での登場場面が限られるため、神徳や祭祀を推測で補わない。

宇摩志阿斯訶備比古遅神

『古事記』の天地開闢で、国が若く浮かぶ脂のようであったとき、葦牙のように萌え上がるものから成ったとされる別天神。葦の芽の比喩を、現代の植物神としての祭祀と直結させない。

豊雲野神

『古事記』の神世七代に数えられる独神。天地開闢から伊邪那岐・伊邪那美の登場へと続く系譜に位置する。名の意味や具体的な職能には諸説があり、断定を避ける。

宇比地邇神

『古事記』の神世七代で須比智邇神と対をなす神。泥土などに関連づける名義解釈があるが、語源解釈を古典本文に書かれた確定事実として扱わない。

須比智邇神

『古事記』の神世七代において宇比地邇神と対をなす神。神世七代の系譜では二柱一組として説明する必要があり、別名ではなく対となる神として区別する。

角杙神

『古事記』の神世七代で活杙神と対をなす神。表記と読みには異同がある。名義から特定のご利益を断定するのではなく、天地開闢の系譜上の位置を中心に解説する。

活杙神

『古事記』の神世七代において角杙神と対になる神。『日本書紀』との神世七代の配列や表記の違いに注意し、単独で伝わる物語が少ない点も明示する。

意富斗能地神

『古事記』の神世七代に登場し、大斗乃弁神(おおとのべのかみ)と対をなす。神名の読みは「おほとのぢ」などの表記がある。神名の意味を一説に固定せず、伊邪那岐・伊邪那美へ続く系譜で説明する。

次の対神も、名前を分けて読む

意富斗能地神と対になるのは大斗乃弁神(おおとのべのかみ)です。続いて於母陀流神(おもだるのかみ)と阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)、最後に伊邪那岐神と伊邪那美神が並びます。二柱を一組で扱うことと、二つの名前を一柱の別名として扱うことは異なります。

神名の読みには歴史的仮名遣いや清濁の違いがあり、國學院大學の神名データベースでも併記されています。たとえば「うひぢに」と「うひじに」は仮名遣いの違いです。異なる読みがあることだけで別神と数える必要はありません。

『日本書紀』の始まりとは配列が異なる

『日本書紀』神代巻の本書では、最初に国常立尊が現れます。『古事記』の冒頭と同じ順序にそろえて読むことはできません。また『日本書紀』は複数の一書を載せ、それぞれに神々の出現を語る形があります。

比較するときは、どの書物の本書か、どの一書かを添えて読むのが手がかりです。「どちらが正しい順番か」を一つに決めるより、始まりの描き方に複数の伝承が残されたことを見ていきましょう。

ご利益が書かれていない神は、どう読む?

これらの神々の中には、登場後の長い物語が記されない神もあります。雲、土、杭などを連想させる名前の解釈は研究上の説であり、そのまま現代の職業の守護やご利益を示すものではありません。

名鑑では一柱ずつ名前を探せるようにしつつ、解説では対や配列をまとめて読むと、短い記述を無理にふくらませず理解できます。物語が具体的に進み始める伊邪那岐・伊邪那美の国生みへつなげて読むのもおすすめです。

七代を数えるときは、一柱の代と対の代を分ける

神世七代は、最初の二代が一柱ずつ、その後の五代が対になっています。したがって、『古事記』のこのまとまりは七柱ではなく十二柱です。神の人数と世代の数を別々に数えると、名前が多い理由が分かります。別天津神の五柱を先に置き、その後に神世七代が続くという順序も押さえておきましょう。

代古事記に記される神
一国之常立神
二豊雲野神
三宇比地邇神・須比智邇神
四角杙神・活杙神
五意富斗能地神・大斗乃弁神
六於母陀流神・阿夜訶志古泥神
七伊邪那岐神・伊邪那美神

独神と、姿を隠すという表現をどう読む?

冒頭では、神が成ることと身を隠すことが簡潔に語られます。独神は、一対の神として示されるのとは違う現れ方を表す語です。配偶者の名前がないというだけで、現代的な性別や家族の姿まで細かく決めることはできません。原典が短く書くところには、後の物語と同じ長さの人物伝がもともとあるわけではありません。

天地がまだ整わない描写から、対の神が現れ、最後に二神が国を生む営みへ進む。この構成を追うと、名前の一覧が、世界の成り立ちを語る文章の一部だと見えてきます。

名前の響きから、次の国生みへ進む

泥や杭、男女の組に関わると解される名もありますが、神名の意味には学説の幅があります。まず配列と組み合わせを確かめ、その後に語源の解釈を読むと、本文に書かれたことと研究上の説明を整理できます。

活動が詳しく語られる神は、天之御中主神や高御産巣日神などの個別解説へ。最後の伊邪那岐神・伊邪那美神から国生みへ続けると、冒頭の静かな神々の列から、行為や会話を伴う物語への変化を楽しめます。

解説の参考:天地初発 / 神世七代 / 活杙神 / 須比智邇神 / 宇比地邇神

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