
この記事の目次
背筋をぴんと伸ばした木の馬に、晴れ着のような華やかな模様。青森県八戸地方に伝わる「八幡馬」は、眺めるほどに表情を感じる郷土玩具です。名前は「はちまんうま」ではなく、「やわたうま」。小さな馬の向こうに、南部地方の暮らしとお祝いの文化が見えてきます。
30秒でわかる八幡馬
八幡馬は、青森県八戸地方の木彫りの馬の玩具です。櫛引八幡宮の祭礼と結びついて伝わり、三春駒・木ノ下駒とともに「日本三駒」の一つに数えられます。華やかな姿は、嫁入りや流鏑馬で飾った馬を表すという説があり、祝いの贈り物としても親しまれています。
八幡馬とは?木を削った線も魅力の一つ
八戸ポータルミュージアム「はっち」は、八幡馬を、鉈(なた)やノミで削った直線と素朴な塗りを生かす民芸品として紹介しています。なめらかな曲線だけで整えた人形とは違い、木を切り、削った跡も造形の味わいになります。[1]
見比べるなら、まずは胸の張り方や首の角度に注目してみましょう。同じ馬のモチーフでも、輪郭や模様によって印象が変わります。「かわいい顔」「きりっとした立ち姿」など、自分が好きだと思う部分から選ぶのも楽しみ方の一つです。
なぜ「八幡馬」?櫛引八幡宮の祭礼とのつながり
VISITはちのへの案内によると、木彫りの馬は、櫛引八幡宮(くしひきはちまんぐう)の例祭の土産として売られるようになったと伝わります。名称は、神社の所在地である「八幡」にちなむとされています。ただし、作られ始めた時期は定かではありません。[2]
日本玩具博物館は、かつて祭礼の日に馬市が開かれ、売られていく愛馬の無事を願って、人々が八幡馬を買い求めたという伝承を紹介しています。かわいい置物というだけでなく、人と馬との関係を伝える玩具でもあるのです。[3]
同館は1220年に木工師が木馬づくりを思い立ったという由来書の話も紹介していますが、これは伝承です。「1220年創始」と確定した歴史として扱うのではなく、土地に伝わる物語として楽しむのがよいでしょう。[3]
華やかな模様は、嫁入りする馬のおしゃれ?
はっちの資料には、模様の由来として、嫁入りの際に飾り立てた馬を表す説と、流鏑馬(やぶさめ)の馬の飾りを表す説が記されています。由来を一つに決めつけず、晴れの日の馬の姿を思い浮かべてみると、模様を見る楽しみが増えます。[1]
VISITはちのへは、福を呼ぶ馬として、結婚・新築の祝い、記念品にも親しまれていると案内しています。縁起物として贈るときは、「これを置けば必ず幸せになる」という約束より、「新しい暮らしを楽しく迎えられますように」という気持ちを添えるのが素敵です。[2]

三春駒・木ノ下駒と並ぶ「日本三駒」
八幡馬と、福島の三春駒、宮城の木ノ下駒は「日本三駒」と呼ばれる馬の郷土玩具です。はっちや日本玩具博物館もこの呼び方で紹介しています。[1・3]
それぞれの産地の物語を知ると、馬の姿の違いも気になってきます。福島の木馬の伝承は、関連記事「三春駒とは?福島の木馬に伝わる歴史と子育ての願い」で紹介しています。三つの玩具がすべて同じ由来や願いを持つ、という意味ではありません。
初めて選ぶなら、飾る場所と作り手の説明から
最初の一体は、飾りたい棚の幅や奥行きに合うものを選びましょう。贈り物なら、相手の部屋に置きやすい大きさかどうかも大切です。商品写真だけで判断せず、素材・寸法・製作者の説明を確かめると、その一体の特徴を知る手がかりになります。
古いものを探す場合は、木の割れや欠け、塗りの剥がれ、箱や札の有無も確認してみてください。底面の記載などを見るポイントは、「古い郷土玩具の楽しみ方」でも紹介しています。
飾るときは、直射日光や湿気の強い場所を避け、安定した棚へ。手入れは作り手の案内を優先し、水拭きや洗剤を使う前に素材を確認しましょう。詳しくは「縁起物の収納と手入れ」も参考になります。
八戸では絵付け体験も案内されています。参加したい場合は、VISITはちのへの公式案内から実施施設の最新情報を確かめてください。自分の好きな色を選ぶ時間も、郷土玩具に親しむ入口になりそうです。[2]
よくある質問
八幡馬は何と読む?
「やわたうま」と読みます。八戸地方に伝わる馬の郷土玩具です。[1]
お祝いに贈ってもよい?
結婚や新築の祝い、記念品として親しまれています。置き場所や好みを聞いて選ぶと、受け取る人も飾りやすくなります。[2]
いつ作られ始めたの?
正確な開始時期は定かではありません。古い由来を語る伝承と、資料で確認できる祭礼との関係を分けて読むことが大切です。[2・3]
あわせて楽しむ、馬と郷土玩具の文化
福島の三春駒の物語や、古い郷土玩具を見るポイントもあわせてどうぞ。ほかの郷土玩具・縁起物を見渡したいときは、福もの市場、古い品との出会いを楽しみたいときはメルカリ掘り出し物市場へ。これらは広告リンクを含む探索ページです。八幡馬の販売・在庫を保証する案内ではありません。
出典・参考資料
[1]八戸ポータルミュージアム「巨大やわたうマッピング国際コンペティション」内「八幡馬とは?」(2014年の企画資料。造形・呼称・模様の由来の参考として使用)
[2]VISITはちのへ「馬との暮らしが育んだ南部地方の景色や文化を辿る旅」
[3]日本玩具博物館「『おもちゃの馬』~干支の動物展~オープン!」(2013年11月15日。過去の調査・展示記事として参照)
資料確認日:2026年10月13日。由来には諸説があり、伝承と歴史上の事実を区別して紹介しています。体験の実施状況や販売情報は、利用前に各施設・店舗の公式案内でご確認ください。



