本文へスキップ
ふくみる
メニュー
ホーム / 読みもの

FUKUMIRU

布刀玉命とは?天岩戸の祭具を捧げた忌部氏の祖神

ふくみる編集部

天岩戸の前で舞う天宇受売命と、岩戸から現れる天照大御神を描いた浮世絵
この記事の目次

布刀玉命(ふとたまのみこと)の神話と、現在につながる信仰を紹介します。

布刀玉命(ふとたまのみこと)はどんな神様?

布刀玉命(ふとたまのみこと)は『古事記』の天岩戸神話に登場する神で、忌部氏の祖神とされます。『日本書紀』には太玉命という表記が見られます。

記事のテーマを、もう少し深く知る

楽天市場・PR

神社検定公式テキスト9『神話のおへそ「古語拾遺」編』

神社検定公式テキスト9『神話のおへそ「古語拾遺」編』

忌部氏側の伝承を伝える『古語拾遺』と、祭祀を担った氏族の背景を解説付きで読みたい方へ。神社本庁監修の市販書籍です。

商品・仕様を見る

楽天市場・PR

『鴨氏・服部氏―少彦名神の後裔諸族』

『鴨氏・服部氏―少彦名神の後裔諸族』

諸国の忌部氏や玉作・鏡作氏など、布刀玉命の記事から古代祭祀氏族の広がりをさらに調べたい方への専門書です。

商品・仕様を見る

広告・PR|価格・在庫・仕様は販売ページでご確認ください。掲載品は市販書籍で、神社の授与品ではありません。

天岩戸で祭具を捧げる

天照大御神(あまてらすおおみかみ)を岩戸から迎えるため、神々は占いや祭具の準備を行います。布刀玉命は祭具を付けた賢木を捧げ持ち、天児屋命(あめのこやねのみこと)は祝詞(のりと)を奏しました。

注連縄(しめなわ)と岩戸の物語

天照大御神が岩戸から出た後、再び中に戻らないよう縄を引き渡す場面にも布刀玉命が関わります。現代の注連縄を説明する際には、神話上の場面と現在の神社習俗を区別しましょう。

忌部氏と天孫降臨(てんそんこうりん)

布刀玉命は天孫降臨に従う五伴緒の一柱で、祭具や幣帛(へいはく)を扱う忌部氏の祖神として語られます。玉を作る玉祖命(たまのおやのみこと)とは名前が似ていても、神話での役割が異なります。

見るところ読み解く手がかり
読み方ふとたまのみこと
『日本書紀』の表記太玉命
天岩戸での働き占い・祭具の準備、御幣を捧げる、縄を引き渡す
祭祀の例安房神社上の宮の主祭神・天太玉命
天岩戸の前で舞う天宇受売命と、岩戸から現れる天照大御神を描いた浮世絵
春斎年昌《岩戸神楽之起顕》(1889年)。天岩戸神話を描いた後世の錦絵で、各神の姿を実証する写真ではありません。MAK所蔵/Wikimedia Commons(Public Domain)。

捧げたのは、どのような祭具?

『古事記』では賢木に玉、鏡、布などを取り付け、天照大御神を迎える準備をします。その祭具を布刀玉命が取り持ち、天児屋命が言葉を奏します。木や飾りを備えることと、祈りの言葉を述べることが、一つの祭祀として組み合わされている場面です。

天照大御神が外へ出たあとに縄を引き渡すのも、布刀玉命の重要な役割です。現在のしめ縄と関わる神話として紹介できますが、すべてのしめ縄の形・飾り・使い方がこの場面に記されているわけではありません。

安房神社での天太玉命の信仰

千葉県館山市の安房神社は、上の宮の主祭神を「天太玉命」と案内しています。公式由緒では、祭祀に携わる祖神としての物語とともに、産業に関わる神として敬う信仰を紹介しています。古典の布刀玉命という表記、神社での天太玉命という表記を、それぞれの資料に従って読むことができます。

忌部氏には中央と各地の集団があり、祖神の伝承も一様ではありません。名前に忌部・斎部が見えるものを、すべて同一の家系や同一の祭神へまとめるのは避けたいところです。

五伴緒の中で見るとわかりやすい

五伴緒は天児屋命、布刀玉命、天宇受売命(あめのうずめのみこと)、伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)、玉祖命の五柱です。天岩戸の祭祀に関わった神々が、天孫降臨の場面にも続けて登場します。天孫降臨の解説とあわせると、天上での祭祀の物語が地上へ受け継がれる構成を追えます。

榊に掛けられた玉・鏡・幣を捧げ持つ

岩戸神話では、鏡や玉を作る神、占いをする神、祝詞を奏する神に仕事が分かれています。布刀玉命は天児屋命と準備に関わった後、玉・鏡・幣を掛けた榊を、ふと御幣として捧げ持ちます。祭具を神に向けて奉る役目が、具体的な動作として描かれています。

神名に玉があるため、すべての玉を自分で作った神だと受け取りがちですが、勾玉(まがたま)の製作を担うのは玉祖命です。作る人と、祭りの場で奉る人が分かれていることを押さえると、手仕事と祭祀が協力して成り立つ場面が見えてきます。

岩戸の後ろに縄を張るのは、布刀玉命(ふとたまのみこと)

天手力男神(あめのたぢからおのかみ)が天照大御神を引き出すと、布刀玉命は尻久米縄を後ろに引き渡し、それより内へ戻らないよう告げます。閉じこもっていた神を外へ迎え、再び内へ入らない境を作るまでが、一続きの働きです。引き出す力と、境を定める祭祀が組み合わされています。

神社のしめ縄を知る時にも、この神話は手がかりになります。ただし、現在のすべての縄の形や用途が、この一節の形をそのまま残すと断定することはできません。何を区切り、どんな場を整えるのかという視点から、神話と今の祭りを見比べられます。

忌部氏の祖神という説明が、仕事の由来につながる

忌部氏は朝廷の祭祀に関わった氏族です。國學院大學は、神器や幣帛に関わる職掌と、布刀玉命が祭具を捧げる神話上の役割との対応を解説しています。祖神という言葉は、家系の名だけでなく、自分たちがなぜその仕事を担うのかを語る由来にもなります。

一方、中央の忌部氏と地方の忌部を称する集団は、祖神も異なり、必ずしもすべてが同じ血縁で結ばれるわけではありません。地名に忌部があるだけで、同じ由緒を当てはめないことが大切です。『古語拾遺』は忌部・斎部の側から伝えられた祭祀の由来を読む資料になります。

玉祖命(たまのおやのみこと)・天児屋命(あめのこやねのみこと)との違いから覚える

神仕事を覚える目安
玉祖命玉を製作する
天児屋命祝詞を奏する
布刀玉命御幣を捧げ、縄で境を定める

三柱は競合する同じ神の呼び名ではなく、祭りを支える別々の神です。さらに天孫降臨では、布刀玉命も五伴緒として邇邇芸命(ににぎのみこと)に従います。天上で整えられた祭りの役割が地上へ続く点に、祖神として祀られる意味を考える手がかりがあります。

解説の参考:布刀玉命 / 天の石屋② / 天の石屋③

神様名鑑で関連する神々を探す

出典・参考資料

神様名鑑で、ほかの神様を探す

こんな福の話もあります