
この記事の目次
物語を3行で
- 因幡へ向かう大国主神が、傷ついた白兎に出会う。
- 兄神たちの助言ではなく、真水と蒲の穂を使う方法を教える。
- 回復した兎は、大国主神と八上比売の縁を予言する。
因幡の白兎とは?
「因幡の白兎」は、『古事記』に登場する大国主神(おおくにぬしのかみ)の物語です。神話の中では、大国主神はまだ大穴牟遅神(おおなむちのかみ)と呼ばれ、兄弟の八十神(やそがみ)たちと因幡国の八上比売(やかみひめ)に求婚しに向かいます。
道中、一行は気多の岬で、毛皮を失い傷ついた兎に出会います。先に通りかかった兄神たちは、海水を浴びて風に当たるよう告げますが、兎の痛みは悪化。最後に来た大穴牟遅神は、河口の真水で体を洗い、蒲(がま)の穂の花粉を敷いた上を転がるよう教えます。兎は回復し、大穴牟遅神が八上比売を得るだろうと予言します。
兎はなぜ海を渡ろうとした?
兎は隠岐の島から因幡へ渡るため、海の「ワニ」をだまし、何匹いるか数えようと持ちかけます。ワニを一列に並ばせ、その背を渡って岸に着きますが、最後にうっかり本当のことを話し、皮をむかれてしまう筋です。「ワニ」がどの動物を指すかには解釈があり、現代の物語絵本ではサメやワニと描かれることがあります。原文の表現と後世の絵の違いも、この話の読みどころです。
| 登場する存在 | 物語での役割 |
|---|---|
| 白兎 | 海を渡ろうとし、最後に大穴牟遅神と八上比売の縁を告げる |
| 八十神 | 誤った助言をし、兄弟の嫉妬から大穴牟遅神を苦しめる |
| 大穴牟遅神 | 兎をいたわり、治し方を教える |
| 八上比売 | 兎の予言どおり、大穴牟遅神を選ぶ |
やさしさと、その後の試練
白兎の話は、困っている相手に耳を傾ける大穴牟遅神の姿を印象づけます。一方で、この出会いの後も兄神たちは大穴牟遅神の命を狙い、物語は母神の助けや須佐之男命の試練へ続きます。関連する神話として、須佐之男命とは?、八岐大蛇退治、三種の神器もあわせてどうぞ。
読み方のポイント
これは『古事記』が伝える神話です。歴史的事実としてではなく、神々の物語として読みましょう。兎の機転、大穴牟遅神の思いやり、八上比売の選択が、後の国づくり神話へつながる場面です。
出典・画像
- 國學院大學 古典文化学事業「大穴牟遅神」
- 國學院大學 古典文化学事業「菟神」
- 國學院大學 古典文化学事業『古事記』あらすじ
- サムネイル:八島岳亭「大国主と兎」1819年頃、メトロポリタン美術館所蔵・CC0(Wikimedia Commons)