
この記事の目次
物語を3行で
- 出雲に降りた須佐之男命は、娘を大蛇に奪われる老夫婦に出会います。
- 八つの頭と尾をもつ大蛇を酒で酔わせ、退治したと『古事記』は語ります。
- 大蛇の尾から見つかった剣は、草薙剣の伝承へつながります。
八岐大蛇(やまたのおろち)は、日本神話に登場する巨大な蛇です。怪物退治として知られますが、古典の本文を読むと、家族を失う悲しみや、土地に神話を結びつける語りも見えてきます。
サムネイル画像:月岡芳年「日本略史」の錦絵。Wikimedia Commons(Public Domain)
八岐大蛇はどんな姿?
『古事記』では、八岐大蛇は一つの胴体に八つの頭と八つの尾を持ち、目は赤く、体には苔や杉・檜が生えているほど大きい姿で語られます。毎年やって来て娘を食べてしまうため、老夫婦の足名椎(あしなづち)・手名椎(てなづち)は、最後に残った櫛名田比売(くしなだひめ)を前に泣いていました。
この場面は『古事記』の神話の一節です。実際の歴史上の事件としてではなく、古代の人々が語り継いだ物語として読みます。
須佐之男命はどうやって退治した?
須佐之男命は櫛名田比売を妻に迎えることを申し出て、老夫婦に強い酒を醸させます。垣根に八つの門と酒桶を用意し、大蛇がそれぞれの頭を入れて酒を飲み、眠ったところを斬りました。
尾を斬ったとき、刃が何かに当たります。尾を裂いて現れた剣は「草那芸之大刀(くさなぎのたち)」と記され、須佐之男命はこれを天照大御神に献上します。後世に草薙剣・天叢雲剣と呼ばれる剣の伝承につながる部分です。神話の流れは須佐之男命とは?と三種の神器とは?でも紹介します。
神話の舞台は出雲
物語は出雲国の肥河(ひのかわ)の上流、鳥髪という場所に須佐之男命が降り立つところから始まります。國學院大學の古事記ビューアーでは、本文と語句の注釈を確認できます。地名や川の比定には研究上の議論もあるため、「現在のこの場所で神話の出来事が起きた」と断定せず、土地に伝わる伝承や各地の案内をあわせて読むのがよいでしょう。
よくある勘違い
八岐大蛇を「八本の首を持つドラゴン」と言い換えることがありますが、古典の語りでは大蛇として描かれています。現代のイラスト表現と本文の描写を分けて見ると、違いも楽しめます。