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伊斯許理度売命と天津麻羅とは?天岩戸の鏡を作った神々

ふくみる編集部

天岩戸の前で舞う天宇受売命と、岩戸から現れる天照大御神を描いた浮世絵
この記事の目次

伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)と天津麻羅(あまつまら)は、天岩戸神話の鏡づくりに関わります。玉祖命(たまのおやのみこと)・布刀玉命(ふとたまのみこと)との違い、鏡作りの氏族、『日本書紀』の異伝を比べて紹介します。

神名『古事記』などでの位置づけ
伊斯許理度売命鏡を作る。作鏡連らの祖。五伴緒の一柱
天津麻羅鍛人として鏡の製作に関わる
玉祖命・布刀玉命玉の製作と、祭具を捧げる役割で区別
天岩戸の前で舞う天宇受売命と、岩戸から現れる天照大御神を描いた浮世絵
春斎年昌《岩戸神楽之起顕》(1889年)。天岩戸神話全体を表す後世の錦絵です。MAK所蔵/Wikimedia Commons・Public Domain。

天照大御神(あまてらすおおみかみ)を迎えるため、鏡を用意する

天照大御神が天の石屋にこもると、神々は外へ迎える方法を考えます。『古事記』では金属材料を取り、鍛人の天津麻羅を求め、伊斯許理度売命に鏡を作らせます。鏡は玉や布とともに祭具として備えられます。

伊斯許理度売命は作鏡連らの祖と伝えられます。鏡という品物に、祭りの意味だけでなく、それを製作する技術や職能の由来も重ねられている場面です。

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天津麻羅(あまつまら)は、どの役割を担う?

天津麻羅は本文で鍛人として紹介されます。その読みからすぐに一つの語源へ結びつけるのではなく、金属加工に携わる者として登場する点をまず押さえたいところです。

鏡づくりでの具体的な分担には研究上の議論があります。『古事記』の文脈に従えば伊斯許理度売命との協働に読める一方、別の祭具を作る記事の脱落を考える説もあります。「天津麻羅が単独で鏡を完成させた」とまでは本文から言えません。

玉を作る神・祭具を捧げる神と区別

玉祖命は玉を作り、布刀玉命は準備した祭具を捧げ、天児屋命(あめのこやねのみこと)は言葉を奏します。伊斯許理度売命と天津麻羅は鏡づくりに関わる神々です。一つの行事の中でも、多くの役割があることが神話の面白さです。

名前の一部が似るかどうかではなく、何を作り、どのように関わったかを手がかりにすると覚えやすくなります。玉祖命、布刀玉命の解説からも比較できます。

『日本書紀』では鏡の製作者も異なる

『日本書紀』の天岩戸を語る異伝には石凝姥、鏡作部の遠祖天糠戸、天抜戸の子・石凝戸辺などが見え、祖先伝承が同じ形でそろうわけではありません。

石凝姥という表記から名前や性格を解釈する説もありますが、神名の語源や氏族の始祖の関係には幅があります。資料名と異伝を添えて読むことで、似た役割の神をすべて一つの家系図へ押し込めずにすみます。

五伴緒に数えられるのはどちら?

『古事記』の天孫降臨(てんそんこうりん)で五伴緒に数えられるのは伊斯許理度売命です。天児屋命、布刀玉命、天宇受売命(あめのうずめのみこと)、玉祖命とともに邇邇芸命(ににぎのみこと)に従います。天津麻羅をその五柱に加えて六柱にしたり、伊斯許理度売命と入れ替えたりしないようにしましょう。

鏡がその後にどのような神宝として語られるかは三種の神器、物語の全体は天岩戸神話で紹介しています。

材料を集める神々と、鏡を作る神を分けて読む

天岩戸の準備では、鉄や山の材料を集め、鍛人を呼び、鏡や玉を整えるという工芸の営みが重なります。伊斯許理度売命は鏡を作る役を担い、天津麻羅は鍛人として現れます。完成した鏡だけを見るより、材料を得るところから場を整えるところまで追うと、神々の協働が具体的になります。

天津麻羅については、鏡の制作に共同で関わったと読む説のほか、本文の伝わり方を問題にする説もあります。現在の職業の肩書きを一つずつ割り振るように、担当製品を断定しすぎず、『古事記』が誰に何を命じるかを基本に読みます。

鏡は、作った後にどう働くのか

岩戸の前では、鏡は天照大御神に外の様子を見ようとさせる手がかりになります。戸を開いた神が身を乗り出すと、待っていた天手力男神(あめのたぢからおのかみ)が手を取ります。鏡を作る技、鏡を見せる働き、最後に引き出す力は、物語の中で順につながっています。

天孫降臨では、鏡は天照大御神の御魂として仰ぎ祀るよう託されます。岩戸で用いた道具が、その場限りの品で終わらず、離れた地で神を祀る物語へ続くところも見どころです。玉祖命の勾玉(まがたま)と併せると、工芸と祭祀の結びつきが見えます。

日本書紀の鏡作りには、祖神の伝え方の違いがある

資料の伝え方鏡の制作に関わる名前
日本書紀の一書の例石凝姥
別の一書の例鏡作部の遠祖・天糠戸
さらに別の一書の例天抜戸の子・石凝戸辺

國學院大學の解説は、祖神の名や親子関係が異伝ごとに違うことを示しています。表記が違う名をすべて同じ一人の履歴へ積み上げるより、どの資料が鏡作りの祖をどう伝えるかを並べると、ものづくりの集団と祖神の物語の関係へ関心を広げられます。

解説の参考:天津麻羅 / 伊斯許理度売命 / 天の石屋② / 天の石屋③

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