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大年神・御年神・神大市比売とは?正月の年神と分けて読む穀物の系譜

ふくみる編集部

宮崎県都城市の山野原自治公民館にある田の神さぁの石像
この記事の目次

大年神(おおとしのかみ)、御年神(みとしのかみ)、神大市比売(かむおおいちひめ)は、『古事記』の穀物や農耕につながる系譜に登場します。親子関係を整理し、正月に迎える年神との違いも見ていきます。

神名『古事記』などでの位置づけ
神大市比売大山津見神の娘。大年神・宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)の親
大年神須佐之男命(すさのおのみこと)・神大市比売の子
御年神大年神・香用比売(かぐよひめ)の子
宮崎県都城市の山野原自治公民館にある田の神さぁの石像
農耕信仰の地域例で、大年神や御年神の尊像ではありません。 宮崎県都城市・山野原自治公民館の田の神さぁ。写真:あじさか/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0(掲載用に縮小)。作品ページ

三柱の親子関係を整理

神大市比売は、大山津見神の娘で、須佐之男命との間に大年神と宇迦之御魂神を生みます。御年神はその大年神と香用比売との間に生まれる神です。御年神を神大市比売の子とするのではなく、一代下の系譜として読む必要があります。

宇迦之御魂神は大年神と同じ親を持つ神として並びます。お稲荷さんの信仰から入った方には、宇迦之御魂神の図鑑から系譜をたどるとわかりやすくなります。

大年神(おおとしのかみ)の「年」は、稲の実りと関わる

大年神は、穀物や農耕に関わる神々を多く子孫に持ちます。神名のトシは、稲や穀物、実りに関わる語として解釈されています。カレンダー上の一年だけを意味する名と考えると、系譜の特徴が見えにくくなります。

『古事記』では大年神の子孫がまとまって列挙され、その位置づけには研究上の議論もあります。農耕生活に関わる神々のつながりを見ることが、長い神名の一覧を読む手がかりになります。

御年神(みとしのかみ)は、大年神(おおとしのかみ)の別名?

御年神は、大年神の子として記される別の神です。「大年」と「御年」が似ていても、同じ神の敬称の違いとしてまとめてしまうことはできません。親子関係を示す本文に沿って区別します。

『古語拾遺』には、御歳神が田に害をもたらし、供物や儀礼を通じて鎮められる説話があります。また祈年祭の祝詞(のりと)の「御年の皇神」を、どの範囲の神々として理解するかには説があります。『古事記』の一柱と、農耕祭祀の呼び名全体を自動的に同一視しないようにしましょう。

神大市比売(かむおおいちひめ)の名前は「市場の女神」?

大市という文字から、市場を掌る神と説明する説があります。しかし、地名や、川沿いの耕地との関係から解釈する説もあり、國學院大學の解説は複数の見方を紹介しています。名前の文字だけで、現代の商売繁盛の効能を確定することはできません。

古典に記される確かな関係は、大山津見神の娘であり、大年神・宇迦之御魂神の親であるという系譜です。まずこの関係を押さえ、神名の解釈は研究上の説明として読むと混同が減ります。

正月の「歳神さま」とは、どうつながる?

正月に家へ迎える年神の習わしにも、田の実りや一年の幸福を願う性格があります。ただし、全国の正月の年神をすべて『古事記』の大年神一柱に決めることはできません。民俗の信仰には地域ごとの違いがあります。

正月の門松や鏡餅を知りたい方は歳神さまと正月飾り、地域の農耕信仰は田の神の記事へどうぞ。

須佐之男命(すさのおのみこと)の家族から、大年神(おおとしのかみ)の系譜へ

『古事記』では、神大市比売は大山津見神の娘で、須佐之男命との間に大年神と宇迦之御魂神を生みます。大年神はその後、多くの子孫の神々へつながります。荒々しい行動や大蛇退治で知られる須佐之男命から、実りや暮らしに関わる神々の系譜へ進む点も、このまとまりの見どころです。

関係神名
父須佐之男命
母神大市比売
二柱の子大年神・宇迦之御魂神
大年神と香用比売の子大香山戸臣神(おおかぐやまとおみのかみ)・御年神

御年神(みとしのかみ)は、大年神(おおとしのかみ)の次の世代に位置する

大年と御年は同じ年の字を含みますが、『古事記』の系譜では、大年神が香用比売を娶って生んだ子に御年神がいます。似た名が二通りあるというだけでなく、本文が親子として区別していることが、別々の項目を設ける理由になります。

また、大年神の相手には伊怒比売(いのひめ)、香用比売、天知迦流美豆比売(あまちかるみずひめ)の名があり、それぞれの系譜が連なります。系図を見るときは、同じ父の下に並ぶ神々でも母の名を確認すると、子孫のまとまりが読みやすくなります。

一度の実りと、毎年迎える歳神さまを行き来する

年という語を稲の実りへ結びつけると、大年・御年の名が単なるカレンダーの数字ではないことが分かります。一方、正月に歳神さまを迎える習慣には地域ごとの伝承や作法があり、神世の系譜の名を一つ知ればすべての家の習慣を説明できるわけではありません。

田畑の恵みを願うことと、一年の始まりに神を迎えることの接点を考えながら、豊受大御神や大宜都比売神(おおげつひめのかみ)へ進むと、食を支える神々の多様さが見えます。

解説の参考:神大市比売 / 御年神 / 大年神

神様名鑑で関連する神々を探す

香用比売(かぐよひめ)と大香山戸臣神(おおかぐやまとおみのかみ)を系譜から読む

香用比売(かぐよひめ)

大年神の配偶神の一柱で、二神の間に大香山戸臣神と御年神が生まれます。カグヨヒメ・カガヨヒメ・カヨヒメなど、表記の訓読には複数の説があります。

名前を輝きと関係づける解釈がありますが、読み方だけで別の女神や地名と同定することはしません。名鑑の読みと異なる文献を見つけても、まず「香用比売」という表記と系譜の位置を照合すると確認できます。

大香山戸臣神(おおかぐやまとおみのかみ)

大年神と香用比売との間に生まれる二神のうち、先に挙がる神です。御年神とは同じ両親を持つ関係です。

大年神の別の配偶神、天知迦流美豆比売との間には「香山戸臣神(かぐやまとおみのかみ)」が現れます。非常によく似た名前ですが、母神と列挙される位置が違い、両神の関係も詳らかではありません。大の一字を省いて同じ神へまとめることは避けます。

天知迦流美豆比売の子の系譜は大年神と天知迦流美豆比売の子神で比較できます。

この補足の出典

出典・参考資料

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