本文へスキップ
ふくみる
メニュー
ホーム / 読みもの

FUKUMIRU

事代主神とは?国譲りと恵比寿との関係

ふくみる編集部

大国主神と野鼠を描いた1911年の日本史挿絵。大国主命の記事のサムネイル。
この記事の目次

読み:ことしろぬしのかみ

『古事記』の国譲り神話で、大国主神(おおくにぬしのかみ)の子として登場します。八重事代主神などの表記もあります。

大国主神と野鼠を描いた1911年の日本史挿絵。大国主命の記事のサムネイル。
大国主神と鼠を描く1911年の挿絵。この記事の神の肖像ではありません。萩野由之『少年日本歴史読本 第二編』/Wikimedia Commons・Public Domain。

父・大国主神(おおくにぬしのかみ)に代わって答える

『古事記』の国譲りでは、大国主神は使者に対する返答を子の事代主神(ことしろぬしのかみ)に委ねます。事代主神は御大の岬で狩猟・漁撈をしていたところから呼ばれ、葦原中国(あしはらのなかつくに)を天つ神(あまつかみ)の御子に献上することを告げ、船を踏み傾けて青柴垣を作り、その中に隠れます。ここは「ただ海に消えた」と単純化せず、原典の描写を押さえたい場面です。

建御名方神(たけみなかたのかみ)とは対照的

建御名方神は建御雷神(たけみかづちのかみ)に力競べを挑みますが、事代主神は言葉によって国譲りを受け入れます。この対比は物語の構成を理解するうえで有用です。ただし、事代主神を「平和の神」、建御名方神を「戦争の神」と固定的に分けるのは避けます。

えびす様との関係は信仰として説明

事代主神をえびす様として祀る寺社があります。一方、えびす信仰には蛭子神などと結びつく系統もあります。したがって「恵比寿(えびす)=事代主神」という一律の同一視は避け、寺社の祭神表記を確かめて紹介します。

国譲りの呼び戻しに関わる天鳥船神(あめのとりふねのかみ)

『古事記』では、事代主神が御大の岬で猟や漁をしていて不在だったため、天鳥船神が呼び戻します。大国主神がいきなり独断で答えるのではなく、子へ問い、返答を得る過程が描かれていることに注目できます。

事代主神が姿を隠す場面の「青柴垣」には解釈の問題があります。現代の絵で描かれた姿だけを唯一の正解とせず、本文と、後世の神事・図像を分けて見るとよいでしょう。

美保神社の祭神と神事

島根県神社庁の美保神社案内は、主祭神を三穂津姫命(みほつひめのみこと)・事代主神とし、青柴垣神事と諸手船神事を紹介しています。神話に結びつく言葉が、現在の祭りにも受け継がれている例です。

島根県の公式観光案内は、事代主神をえびす様と結びつけて紹介しています。この土地の信仰を説明することと、全国のえびす信仰を同じ系譜へ統一することは別です。蛭子神と結びつく伝承との違いも残して読めます。

周囲の神々から、国譲りを読む

父神は大国主神、交渉の使者は建御雷神、全体の筋は国譲り神話で紹介しています。名前ごとに場面を切り離さず、誰が誰に何を問うたかを追うと、話がつながります。

父が子に返答を委ねることの重み

大国主神は、国譲りの返答を自分一人で決めず、事代主神に尋ねるよう求めます。使者の天鳥船神が出向き、猟や漁の最中だった事代主神を呼び戻すため、交渉には時間と往復が生まれます。地上の国を譲るという大きな転換を、親の一言で済ませない構成です。

事代主神は献上に賛成する意思を告げます。建御名方神の力競べと並べると、言葉による承諾と、力による抵抗という違いが際立ちます。最後には、大国主神は事代主神が神々の先に立って仕えるなら、背く神はいないだろうと語ります。返答した後に退場するだけでなく、新しい秩序を支える神としても位置づけられています。

「事」と「言」の表記から、神名を考える

國學院大學は、神名のコトに「事」と「言」の二字が使われることを紹介しています。神に代わって言葉を述べる者と見る解釈などがあり、神託との関わりが考えられてきました。ただし、事と書く用例の意味も議論されており、単に言葉を話す能力だけを神格化したと決められるものではありません。

物語で実際に何を述べたかを見ると、その言葉が一つの国の行方を決めるほど重いことが分かります。神名の語源を一つに断定するより、本文中の返答と、大国主神から託される役目に目を向けると、事代主神の存在感が伝わります。

美保の祭りと、西宮のえびす信仰を比べる

神社えびす様に関わる祭神・由緒
美保神社事代主神を祀り、国譲りに関わる神事を伝える
西宮神社蛭児大神をえびす大神として祀り、海からの神像の出現を伝える

美保神社では、神話に現れる青柴垣や船に関わる名が神事に残ります。一方、西宮では漁師が神像を迎える伝承や、市の発展を背景に信仰が広がります。どちらもえびす様として親しまれることと、同じ親子関係・同じ誕生場面を持つことは同義ではありません。

鯛と釣り竿を持つ恵比寿像から神話へ関心が広がったなら、祀られる土地の名も一緒に覚えると、像と祭神の説明がつながります。大国主神の子としての役目と、商売繁盛を願う人々に親しまれる姿の両方が、事代主神を知る入口です。

解説の参考:事代主神 / 天鳥船神 / 美保神社 – 神社詳細 / 美保神社 / 西宮神社について – えびす宮総本社 西宮神社 公式サイト

神様名鑑で関連する神々を探す

出典・参考資料

神様名鑑でほかの神様を探す

こんな福の話もあります

広告・PR

楽天市場で探す

大きな鯛にまたがる、小さな恵比寿さん

大きな鯛にまたがる、小さな恵比寿さん

事代主と結び付く恵比寿信仰に関心を持った方へ。特定の神を同定する物ではなく、恵比寿の図像を土人形で楽しむなら。

鯛エビスの陶器製土鈴。約3.7×8×高さ7.5cm。尾崎人形保存会の品として販売されています。手作りのため、形・表情・音色には違いがあります。

楽天市場で見る

『神様の解剖図鑑』—神々の姿を比べる

『神様の解剖図鑑』—神々の姿を比べる

恵比寿とほかの神々の持物・姿を読み比べたい方に。

平藤喜久子『日本の神様解剖図鑑』。稲荷信仰だけに限らず、日本の神々への関心を広げる関連書籍として選びました。

楽天市場で見る

一点ものをメルカリで探す

釣り竿と鯛が付いた、鉄の恵比寿像

釣り竿と鯛が付いた、鉄の恵比寿像

鯛や釣竿を持つ姿を、金属の造形で眺めたい方へ。恵比寿像として出品された現品を検討できます。

鉄製・茶色の恵比寿像として出品。状態欄は目立った傷や汚れなし。寸法の記載は確認できないため、飾る場所に合うか出品者へ確認してください。

出品の写真・状態を見る

鯛と小槌を見比べる、木彫の恵比寿・大黒

鯛と小槌を見比べる、木彫の恵比寿・大黒

恵比寿が大黒と並ぶ民間の飾り方にも興味がある方に。神話上の同一性とは分けて、木彫りの一対を楽しむなら。

銘「宏明」と説明される古物の一対。高さは約23cm・23.5cm。合わせ箱には経年変色があるとの説明です。作者の来歴は未確認です。

出品の写真・状態を見る