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秋の街を歩くと、オレンジ色のかぼちゃがあちらこちらで笑っています。ハロウィンのランタンは、かわいい顔もあれば、ぎょっとするような顔も。「どうして、かぼちゃに顔を彫るんだろう?」と気になったことはありませんか。
その背景には、アイルランドなどに伝わるランタンの風習や、夜をさまようジャックの物語があります。日本にも、屋根の鬼瓦や節分の柊鰯のように、家や暮らしを守る願いを込めたものがあります。由来の異なる飾りを見比べながら、ふくみるらしく「形に込められた気持ち」を探してみましょう。
ハロウィンのかぼちゃは「ジャック・オー・ランタン」

かぼちゃのランタンの一例(2013年撮影)。写真:Douglas Paul Perkins/Wikimedia Commons、CC BY 3.0。縮小画像を使用、内容の加工なし。
ハロウィンで見かける、顔を彫って中を明るくしたランタンは「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれます。ところが、アイルランドやイギリスには、かぼちゃではなくカブをくり抜いて作るランタンの風習がありました。ゴールウェイ市博物館は、こうしたランタンが塀や門などに置かれ、人を驚かせるためにも使われたと紹介しています。[1]
アイルランド国立博物館にも、カブのランタンの資料が残っています。展示されるモデルは、1943年に博物館へ届けられたランタンをもとに作られたもの。資料の説明では、その地域で1900年ごろに作られていた型とされています。「昔のかぼちゃランタン」と思って見ると、姿の違いに驚くかもしれません。[2]
どうしてカブからかぼちゃへ変わったの?
ゴールウェイ市博物館によると、アイルランドからの移民がランタンの風習を大西洋の向こうへ伝え、アメリカでは手に入りやすく、彫りやすいかぼちゃが使われるようになりました。同じランタンの名を受け継ぎながら、材料が土地に合わせて変わったのです。[1]
文化は、どこかへ運ばれると、いつも同じ姿で残るとは限りません。身近な材料や作りやすさによって形が変わる。その話を知ると、オレンジ色のかぼちゃも、長い旅の先にある飾りに見えてきます。
ジャックの物語と、怖い顔の意味
ランタンの名前には、天国にも地獄にも迎えられず、明かりを持ってさまようジャックの民話が結びついています。話には複数の形があり、ゴールウェイ市博物館が紹介する物語では、ジャックが悪魔から受け取った火種を、くり抜いたカブに入れて夜を歩きます。これは伝承として語られる物語です。[1]
怖い顔を彫る理由について、米国議会図書館は悪い霊を遠ざける意味を紹介しています。一方、アイルランド国立博物館は、人を驚かせるために使った例を説明しています。ランタンの楽しみ方や説明を、ひとつの意味だけに決めつけないことも大切です。[2・3]
ハロウィンには、季節の区切りや霊についての伝承も関わっています。アイルランド国立博物館の解説では、11月1日のサウィンの前夜に祝いが行われ、ハロウィンという名称は諸聖人の日の前夜に由来すると説明されています。収穫物を使う遊びや仮面なども紹介され、今日の飾りの背景に、いくつもの風習が重なっていることがわかります。[4]
日本の鬼瓦にも、家を守る願い

鬼面をかたどった鬼瓦の一例。撮影時期・所在地は出典ページに記載なし。写真:Fg2/Wikimedia Commons。撮影者がパブリックドメインとして公開。縮小画像を使用、内容の加工なし。
日本の寺院や家の屋根を見上げると、鬼のような顔がこちらをにらんでいることがあります。鬼瓦は、屋根の棟の端などを飾る瓦の一種。岩手県立博物館の解説では、雨仕舞いや装飾に加え、魔除けの願いが込められたものとして紹介されています。[5]
しかも、鬼瓦は必ず鬼の顔とは限りません。鬼面や獣面のほか、蓮華文や家紋などの意匠もあります。久留米市の城島鬼瓦の紹介でも、雲や菊などさまざまな形を挙げています。「鬼瓦」という名前から顔を探し始めても、違う模様に出会えるのが面白いところです。[5・6]
ランタンと鬼瓦は、材料も使う場所も異なります。それでも、強い表情や目立つ形に、見えないものへの思いを重ねる点から眺めると、文化を見比べる楽しみが生まれます。この比較は編集部の視点であり、ふたつが同じ起源だという意味ではありません。
節分の柊鰯は、玄関で鬼を遠ざける風習
もうひとつ日本の例として挙げたいのが、節分の柊鰯(ひいらぎいわし)です。イワシの頭とヒイラギを戸口などに飾り、鬼が入ってこないよう願う風習があります。国際日本文化研究センターの伝承データベースには、鰯のにおいや柊のとげで鬼が逃げるという、地域ごとの語りが記録されています。[7]
こちらは秋のハロウィンではなく、主に立春前の節分の風習です。顔の怖さを使うランタンや鬼瓦と見比べると、においやとげにも魔除けの意味を見いだしてきたことがわかります。飾り方や片付け方は、節分の柊鰯の記事で詳しく紹介しています。
3つの飾りを見比べると
| 飾り・風習 | 材料や姿 | 使う場面 | 紹介される意味 |
|---|---|---|---|
| ジャック・オー・ランタン | カブやかぼちゃに顔を彫った明かり | ハロウィン | ジャックの民話、人を驚かせる遊び、霊を遠ざける説明 |
| 鬼瓦 | 鬼面などを表した飾り瓦 | 屋根の棟の端など | 雨仕舞い・装飾と魔除けの願い |
| 柊鰯 | イワシの頭とヒイラギ | 立春前の節分、戸口など | においやとげで鬼を遠ざける地域の伝承 |
怖いものをかたどる、怖いものが嫌がるものを置く、夜に明かりを灯す。方法は違っても、暮らしの周りに意味のあるものを置いてきた姿が見えてきます。日本の「福」を考えるときも、福を招く飾りと、災いを遠ざけたい飾りの両方に目を向けると、楽しみが広がりそうです。
今の暮らしで、秋の飾りを楽しむなら
由来を知ったあとは、今の暮らしに合う飾り方を楽しんでみましょう。小さなかぼちゃのランタンをひとつ置くだけでも、玄関や棚に秋の雰囲気を添えられます。これは現代のインテリアの提案で、特定の開運効果をうたう飾り方ではありません。
家の中で明かりを楽しみたいなら、火を使わないLEDタイプを候補に。置く棚に収まる大きさか、電池式か電源につなぐ形か、屋内用か屋外用かを製品の案内で確認すると選びやすくなります。飾る場所は通行やドアの開閉を妨げない位置にしましょう。
記事で気になった品を見比べる
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紙で作る顔の飾りや、明かりを入れない小さな置物でも楽しめます。親子なら「カブのランタンはどんな顔だったんだろう?」と、博物館の写真を見ながら話すのも一案です。怖い顔が苦手な子には、笑った顔を選んでもいいですね。
一年を通して玄関に置く縁起物も気になる方は、玄関に飾る縁起物の選び方へ。季節の飾りと日常の飾りを、置く場所や大きさから考えられます。
ハロウィンから、日本の福文化も見えてくる
かぼちゃの顔に目を向けてみると、カブのランタン、夜を歩くジャック、屋根の鬼瓦、節分の柊鰯へと、話がつながっていきます。由来を混ぜずに見比べることで、土地ごとの違いも、暮らしに込められた願いも楽しめます。
今年のハロウィンは、仮装やお菓子に加えて「この飾りは、どんな話から来たんだろう?」をひとつ。身近な秋の景色が、文化を知る入り口になるかもしれません。
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参考資料
[1]Galway City Museum「Turnip Lantern Tradition」
[2]National Museum of Ireland「Ghost turnip」
[3]Library of Congress「The Origins of Halloween Traditions」
[4]National Museum of Ireland「Traditions and customs of Halloween / Samhain」
[5]岩手県立博物館「明後沢遺跡出土 鬼瓦(復元複製)」
[6]久留米市「城島鬼瓦について」
[7]国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」
資料確認:2026年10月14日。歴史的資料の説明と民話・地域の伝承を区別して紹介しています。
アイキャッチは編集部制作のAI写真風イメージです。現代の架空の住宅での飾り方を描いており、歴史的な風習の実写資料ではありません。




