
この記事の目次
- 扇は風を送る道具であり、舞や儀礼にも使われてきました。
- 開くと先が広がる形から「末広」と呼ばれ、繁栄や発展を願う吉祥のモチーフです。
- 縁起の意味は願いを表す文化表現。持つだけで運勢が変わるという意味ではありません。
扇(おうぎ・せんす)は、涼をとる道具としてだけでなく、絵柄や贈り物、芸能の小道具にも登場します。なぜおめでたいモチーフとされるのか、形と使われ方から見てみましょう。

扇と扇子、うちわの違い
「扇」は風を送る道具の総称として使われ、「扇子(せんす)」は折りたためる形、「うちわ(団扇)」は骨組みに面を張った折りたためない形を指すのが一般的です。扇子は閉じれば細く持ち運べ、開くと広い面で風を送れます。木や竹の骨、紙や布の面など、材料や仕立ては用途によってさまざまです。
日本には、檜の薄板を重ねた「檜扇(ひおうぎ)」など、風を送る用途だけでなく、宮廷の装束や儀礼に関わる扇の歴史があります。文化遺産オンラインでは、厳島神社に伝わる平安時代の「彩絵檜扇」など、実物資料も紹介されています。
なぜ「末広」で縁起がよい?
扇は、閉じた根元から先端に向けて広がる形をしています。この形を「末広がり」と見立て、物事が先へ進む、家や仕事が栄えるといった願いを込めるようになりました。
東京国立博物館は、扇を末広がりの形からめでたい品物と説明し、国際基督教大学博物館の収蔵品解説も、工芸品に施された扇文を発展・繁栄・運勢の広がりを表す吉祥文として紹介しています。
| 扇の使われ方 | 見どころ |
|---|---|
| 日用品 | 折りたためる扇子、折りたためないうちわ |
| 文様・工芸 | 末広がりの形に、繁栄や発展への願いを重ねる |
| 舞や芸能 | 手の動きや場面を表す小道具として用いる |
| 贈答・祝い | 節目の祝いに「これから広がる」願いを添える |
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広告・PR|礼装用の末広扇子の一例
こちらは留袖などに合わせる礼装用の末広で、涼をとる日常用の扇子とは用途が異なります。記事で紹介した末広がりの形を実物で見る一例として掲載しています。中古品の状態・付属品・価格・在庫は出品ページでご確認ください。
扇の絵柄にも願いが表れる
扇面には、松竹梅、鶴亀、富士山、四季の草花など、めでたさや季節感を表す図柄が描かれます。扇そのものの形が吉祥の意味を担い、その面に別の縁起のよいモチーフを重ねることもできます。扇文は着物や漆器、道具の装飾にも取り入れられ、日常の品に願いを込める方法の一つとなりました。
扇が縁起物とされる理由は「先へ広がる形」への見立てです。扇子を贈ったり飾ったりするときは、用途や絵柄に込められた意味を楽しみましょう。
舞の扇を楽しむ
神楽や日本舞踊などでは、扇は風を送る道具を超えて、手の動きや舞台上の情景を表す小道具にもなります。開く・閉じる・掲げるといった動きによって、扇が波や花、月などを表現することも。祭礼や舞台で扇を見かけたら、形だけでなく、演者がどう扱っているかにも注目してみてください。
扇のように、使い道と縁起の意味をあわせ持つ品には、羽子板や、店先で福を願う福助人形もあります。神さまへ舞を奉納する神楽とは?もあわせてご覧ください。
参考資料・画像
- 文化遺産オンライン「渡し金 扇文」
- 東京国立博物館「寿ぎと絵替わりの美―扇散らし―」
- 京都国立博物館 e国宝「彩絵檜扇」
- 写真:Tomomarusan「Sensu.JPG」、Wikimedia Commons、CC BY 2.5(掲載用に縮小)。扇面の図柄は葛飾北斎「凱風快晴」をもとにしたものです。


