.jpg)
この記事の目次
羽山戸神の子には、若山咋神・若年神・若沙那売神・弥豆麻岐神・夏高津日神・秋毘売神・久々年神・久々紀若室葛根神がいます。季節と農耕に関わる名を紹介します。
アイキャッチの出典:西川祐信《伊邪那岐命と伊邪那美命》。国生みを描いた絵画で、この記事の神々そのものを描いた肖像ではありません。メトロポリタン美術館所蔵(2015.300.115)/Wikimedia Commons(CC0)。参考図版であり、この記事で扱うすべての神の肖像ではありません。
羽山戸神の子神を、農耕と季節から読む
『古事記』の大年神の系譜の中で、羽山戸神と大気都比売神の間に八神が生まれます。若い稲や田植え、水、夏の日、秋、稔り、新しい室を思わせる名が並び、一年の農耕と祭祀を重ねる解釈があります。
若山咋神(わかやまくいのかみ)
若山咋神は、八神の最初に挙がります。大山咋神とは系譜上の位置が違います。若い山の地主の神などと解釈されますが、大の字を若へ変えた別名として自動的に統合しません。
若年神(わかとしのかみ)
若年神は、若い稲や苗に関わるとされる神です。大年神の子ではなく、ここでは羽山戸神を介した世代に現れます。御年神とも別の名として並べて読みます。
若沙那売神(わかさなめのかみ)
若沙那売神は、若年神と対にして語られる女神です。田植えをする早乙女や、稲に仕える女性との関係が考えられます。読みは、わかさなめのかみです。
弥豆麻岐神(みずまきのかみ)
弥豆麻岐神は、八神の第四です。水を田へ引き入れることや、水をまく儀礼と結びつける説があり、田植えに続く水の営みを読む手がかりになります。
夏高津日神(なつたかつひのかみ)
夏高津日神は、夏の高い日の光を思わせる名です。別名を夏之売神といいます。古事記が別名と示す二つの名を、別々の子神として二人に数えません。
秋毘売神(あきびめのかみ)
秋毘売神は、秋に関わる女神と解されます。夏高津日神の別名の夏之売神と並べると、夏から秋への移り変わりを思わせます。
久々年神(くくとしのかみ)
久々年神は、茎の伸びた稲や稔りとの関係が考えられます。久々能智神のククとの語の関連も論じられますが、木の神そのものの別名と決めることはできません。
久々紀若室葛根神(くくきわかむろつなねのかみ)
久々紀若室葛根神は、八神の最後に挙がります。新しい室や、材木を結ぶ綱、収穫後の祭祀の場などとの関係が論じられます。神名の細部の意味は一つに定まりません。
神名の順と、農作業の順を比べる
田植え、水の管理、夏の日差し、秋の稔りというつながりは、読解の手がかりになります。ただし、古事記が具体的な日付入りの作業暦を示したわけではありません。それぞれの語の意味を確かめて、解釈として読む必要があります。
大気都比売という表記と、食物起源の神話
系譜の母神の表記と、食物の起源を語る場面の大宜都比売神の表記には注意が必要です。文字や登場する場面を確かめず、すべてを一つの長い物語へ書き換えることはしません。大宜都比売神の解説でも資料を読み分けています。
名前の短縮と、別名を区別する
若年神を御年神へ、若山咋神を大山咋神へ、字の印象だけで置き換えると、親子や世代が変わってしまいます。一方、夏高津日神と夏之売神は、本文が別名として対応を示します。この違いを保つことが大切です。
暮らしの神々のまとまりへ
羽山戸神の親の系譜や大年神の五柱の子神と合わせると、大年神の系譜全体に広がる自然と生活の主題をたどれます。
若年と若沙那売、夏と秋の名を対照する
羽山戸神と大気都比売の八神には、若年神と若沙那売神という対や、夏・秋を思わせる名があります。神名の順番を、現代の農作業の予定表と同じにするのではなく、若さ、実り、季節、住まいなど、名がどのような景色へ関心を向けるかを読み比べます。
| 確かめる神名 | 注意したい呼び方 |
|---|---|
| 若年神・若沙那売神 | 対をなす名として読む |
| 夏高津日神 | 夏之売神という別名もある |
| 久々年神・久々紀若室葛根神 | 長短の名だけで同神としない |
大気都比売の名は、食の物語と系譜の両方へ現れる
食べ物が体から生じる神話を知っていると、この系譜の母神の名にも気づけます。けれども、殺される場面の時系列へ、そのまますべての子神の誕生を挿入することはできません。系譜として配された記事と、行為を語る挿話を分けて読むと、一つの名が担う役割の幅が見えてきます。
あわせて読む:大宜都比売神 / 羽山戸神と母方の系譜
解説の参考:秋毘売神 / 羽山戸神 / 久々紀若室葛根神 / 久々年神 / 弥豆麻岐神 / 夏高津日神 / 若沙那売神 / 若年神 / 若山咋神


