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禊で衣や杖から生まれた十二神とは?衝立船戸神・道俣神と装身具の神々

ふくみる編集部

西川祐信の画に描かれた伊邪那岐命と伊邪那美命。国生み神話の記事のサムネイル。
この記事の目次

古事記の禊(みそぎ)では、水に入る前に外した杖・帯・衣・手纏などから十二神が現れます。衝立船戸神(つきたつふなとのかみ)から辺津甲斐弁羅神(へつかいべらのかみ)まで、名前と物の対応、道の神との関係を紹介します。

アイキャッチの出典:西川祐信《伊邪那岐命と伊邪那美命》。国生みを描いた絵画で、この記事の神々そのものを描いた肖像ではありません。メトロポリタン美術館所蔵(2015.300.115)/Wikimedia Commons(CC0)。参考図版であり、この記事で扱うすべての神の肖像ではありません。

禊(みそぎ)の前に、身につけた物から十二神が現れる

黄泉国から戻った伊邪那岐命(いざなぎのみこと)は、禊の前に杖や衣服、装身具を外します。『古事記』では、その一つ一つから神が現れます。水に入って生まれる綿津見神(わたつみのかみ)や住吉三神より、前の段階に置かれる神々です。

衝立船戸神(つきたつふなとのかみ)

投げた杖から成る神です。杖を境界に立てる習俗や、外から来る災いを防ぐ道の神との関係が論じられます。

道之長乳歯神(みちのながちはのかみ)

外した帯から成る神です。名の読みや道の境界との関係には説があり、長い道中を守る神として解釈されることもあります。

時量師神(ときはからしのかみ)

嚢、すなわち袋から成る神です。時を計る意味とする説のほか、解き放つ行為に結びつける説もあり、時間管理の神とだけ断定しません。

和豆良比能宇斯能神(わずらいのうしのかみ)

脱いだ衣から成る神です。煩いを思わせる名を、黄泉から持ち帰った穢れや、それを離す行為と関係づける解釈があります。

道俣神(ちまたのかみ)

褌から成る神です。道が二つに分かれる場所を思わせる名から、辻や境の信仰と結びつけられます。伊邪那美神の別名である道敷大神とは別です。

飽咋之宇斯能神(あきぐいのうしのかみ)

外した冠から成る神です。口を開いて食べることや、満ち足りた食との関係など、名の解釈には複数の説があります。

奥疎神(おきざかるのかみ)

左手の手纏から現れる三神の一柱です。奥は、右手に対応する辺との対照で、海の沖の側に関わる語と解されます。

奥津那芸佐毘古神(おきつなぎさびこのかみ)

左手の手纏から現れます。那芸佐は渚を思わせる語ですが、岸辺の具体的な住所をこの名だけで決めるものではありません。

奥津甲斐弁羅神(おきつかいべらのかみ)

左手の手纏から現れる三神の一柱です。甲斐弁羅には境界や海辺の地形との関係が考えられ、解釈は一つに定まりません。

辺疎神(へざかるのかみ)

右手の手纏から現れる三神の一柱です。奥疎神と名前が対になり、沖と海辺という空間の組み合わせを読む手がかりになります。

辺津那芸佐毘古神(へつなぎさびこのかみ)

右手の手纏から現れます。左手の奥津那芸佐毘古神に対応する名で、同じ一柱の表記違いとして省略しないようにします。

辺津甲斐弁羅神(へつかいべらのかみ)

右手の手纏から現れる神です。辺津那芸佐毘古神・辺疎神とともに、左手の三神と対照をなす形で記されます。

装身具を外すことが、境界を越えた帰還と結びつく

杖や帯、衣といった旅の持ち物が、黄泉から帰る神の清めに関係します。十二神を旅の神、災いを防ぐ神、穢れを離す行為の神格化などと見る説がありますが、全員に同じ役職が本文で与えられるわけではありません。

記紀の道の神を、文字だけで混ぜない

書紀の異伝では、脱ぐ物と現れる神の組み合わせが古事記と違う場合があります。特に道敷という語は、古事記では追いついた伊邪那美神の呼び名です。ここで扱う道俣神と同じ字の省略だと考えないようにします。

水の中の禊(みそぎ)へと続く

住吉三神や禍津日神・直毘神へ進むと、身につけた物を外す段階から、水で清める段階への流れが見えます。十二神の名前を、禊全体の中に置いて楽しめます。

最初の六神は、外した持ち物と組にする

禊へ入る前に、伊邪那岐神は杖や衣服を外します。どの神がどの品から成るかを一対一で並べると、十二の神名の前半を追いやすくなります。後半の奥と辺の神々は左右の手の動きに関わり、同じ規則で十二個の持ち物が並ぶのではありません。

外した品成る神
杖衝立船戸神
帯道之長乳歯神
嚢時量師神
衣和豆良比能宇斯能神
褌道俣神
冠飽咋之宇斯能神

衣を外すことと、水へ入ることは二つの段階

持ち物から神が成った後、実際に水へ入る禊へ進みます。帰還の支度を整える段階と、身を洗って神々が成る段階を分けると、禍津日神や海の神の名がなぜ後に現れるかが分かります。黄泉の通路を閉じた石とも、同じ場面で生まれた道具の神として混ぜないようにします。

あわせて読む:禍津日神・直毘神 / 住吉三神 / 道反之大神(ちがえしのおおかみ)

解説の参考:みそぎ① / 飽咋之宇斯能神 / 道俣神 / 道之長乳歯神 / 時量師神 / 衝立船戸神 / 和豆良比能宇斯能神

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